オートマチックなクラブが簡単とは限らない

巷で一般に「簡単」という触れ込みで売られているクラブって、本当に誰にでも簡単なのだろうか???ということで、今日はいわゆる「簡単なクラブ」についての話題。

一般に「簡単なクラブ」と言われるものは、果たしてどんなクラブなのかな?ということで、キーワードをまずは列挙してみる。

「簡単な」ドライバーのキーワード:
・反発がいい(ルール上限ギリギリ)(=飛ぶ)
・460cc(ルール上限)、慣性モーメント(MOI)が高い(=曲がりにくい)
・重心位置が深くて低い、シャローフェイス(=球があがりやすい)
・重心角が大きい(=ヘッドが返りやすい=捕まりやすい)
・低スピン(=飛ぶ)

「簡単な」フェアウェイウッド・ユーティリティのキーワード
・反発がいい(=飛ぶ)
・低スピン(=飛ぶ)
・ヘッドが大きい(芯が広い)(=ミスショットが出にくい)
・慣性モーメントが高い(=曲がりにくい)
・重心位置が深くて低い、シャローフェイス(=球があがりやすい)
・重心角が大きい(=ヘッドが返りやすい=捕まりやすい)
・シャフトが短い(=ミートしやすい)

「簡単な」アイアンのキーワード:
・ソール幅が広い(=ダフりに強い)
・ヘッド(フェイス)が大きい(芯が広い)(=ミスショットが出にくい)
・キャビティ、中空(芯が広い)(=ミスショットが出にくい)
・重心位置が深くて低い(=球があがりやすい)
・重心角が大きい(=捕まりやすい)
・反発がいい、ストロングロフト(=飛ぶ)

「簡単な」ウェッジのキーワード:
・ソール幅が広い(=ダフりに強い)
・バウンス角が大きい(=ダフりに強い・バンカーで潜りにくい)
・ヘッド(フェイス)が大きい(芯が広い)(=ミスショットが出にくい)
・キャビティ形状(芯が広い)(=ミスショットが出にくい)

「簡単な」パターのキーワード:
・慣性モーメントが高い(大型マレット)(=曲がりにくい、フェイスが返りにくい)
・重心角がフェイスバランス(=決めたラインにまっすぐ打ちやすい)
・カウンターバランス(=軌道が安定する)

といった感じでしょうか???
でもこれ、誰にでも「簡単」なんですかね?

クラブの種類によってキーワードは若干違いますが、結構被ってると思うので、ひとつひとつ検証してみましょう。

・反発がいい(=飛ぶ)
普通ならそりゃそうだよなーって思うところですが、不思議なことにフェイスの反発がいいクラブが飛ぶとは限らないのがゴルフなんですよね・・・謎です。たぶんスピン量とか色々関係するんだと思う。
ドライバーなら飛んでくれるに超したことはないですが、それ以外って「決まった距離を安定して打てる」方がスコアになる気がします(特にアイアンやユーティリティ)。
まぁ、ユーザーによりけりなのかもね。スコアより一発のナイスショットを求める層もいるようなので・・・。

・慣性モーメント(MOI)が高い(=曲がりにくい)
曲がりにくいからといって思い通りの方向にまっすぐ飛ぶわけじゃないから困るんですよね・・・え、何を言っているか分からないって???
例えば右にまっすぐ抜けていくような球とか、そういうのも出るようになりますよ・・・はい。捕まりとのバランス次第ですが。

・重心位置が深くて低い、シャローフェイス(=球があがりやすい)
重心位置が深すぎるとその分スピン量が増える傾向にありますので、ナイスショットのときの飛距離は落ちます。
シャローフェイスも球が上がりやすいと人気ですが、フェイスのインパクト位置が縦にぶれる人には拷問でしょうね・・・。なお、スイングが悪いとテンプラが出やすいという問題も。僕はあまり好きじゃないです。
FWもシャローすぎるとティーショットでくぐるイメージしかないです。何度やらかしたか・・・。

・重心角が大きい(=ヘッドが返りやすい=捕まりやすい)
世の中のゴルファーの半分以上はスライサーらしいので、そういううたい文句になるよなぁ・・・とは思いつつ、僕はチーピニストの傾向があるので(ここ最近10ラウンドのデータではざっくりFWキープ5割、左3割、右2割程度)、捕まりがよすぎるのも好きじゃないです。
でも、捕まりが悪いクラブってのはそのまま右にさようならするので、それはそれで困ったチャン。
なんか、460ccのでっかいヘッドの今時のドライバーだとフェイスが戻ってこない感じみたいです。なので(イメージ的には他の番手と近く感じる事ができる)コンパクトヘッドのモデルが好き。たとえばM5 TOUR(現在使用中)。
FW・UTも結構ドフック出るときがあるので(地面から打っててドフックじゃ結構重症)、こういうのはほどほどがいいと思います。

・ヘッドが大きい(芯が広い)(=ミスショットが出にくい)
すでに書いた通りですが、ヘッドがでかいと高MOIになってまっすぐ飛びやすい。でも地面から直で打つクラブででかすぎるとダフりトップのイメージしかでないわ・・・。うーん。

・シャフトが短い(=ミートしやすい)
飛距離とのトレードオフ。あとヘッドのバランスも変わる(好み)。

・ソール幅が広い(=ダフりに強い)
ダフる前提で考えたらまぁ潜りにくいんだろうが、でも抜けないよな・・・(MP-H5とMP-54をコンボ化して1ラウンドしてみた感想)。
あとウェッジの場合、「ふんわり」した球を打ちたいならソールが広いのは難しいです。開閉もしにくいし。

・キャビティ、中空(芯が広い)(=ミスショットが出にくい)
さすがにマッスルバック形状は打ったことないし打点がシビアだから打てる気もしないが、中空ってどれくらいメリットがあるのか?というと正直微妙な気もする(MP-H4を使ってたときの感想)。

・重心角が大きい(=捕まりやすい)
フッカーにはカンベンしてほしいやつですね・・・。

・反発がいい、ストロングロフト(=飛ぶ)
アイアンは運ぶクラブですので、飛べばいいってもんじゃないよね・・・(7Iで32°くらいでも十分に昔ながらのアイアンよりはストロングだけど、超ストロングというか何その7Iで26°とかそういうやつ・・・グリーンを狙うクラブではすでにない)。

・バウンス角が大きい(=ダフりに強い・バンカーで潜りにくい)
硬いバンカーでは逆効果。ベアグラウンドも微妙。開閉してのアプローチもやりにくいかも。

・重心角がフェイスバランス(=決めたラインにまっすぐ打ちやすい)
そういうアイアンがあったら面白いのではと一瞬思ったのは内緒(ベンドネックのアイアンってダメなんですかね)。たぶん曲がらない・・・飛ぶとは思えないが・・・。
ちなみにシャフトの軸線とヒール部分の間隔は0.625インチ以内とルールで規定されているのでセンターシャフトはパター以外NG・・・なはずだけど、ロフト10°以下のドライバーは「パターだ」って言い張れないこともないような気がして(笑)←たぶん用具規則のどっかを読み飛ばしてるだけだと思います・・・(笑)。

・カウンターバランス(=軌道が安定する)
軌道は安定するけど総重量が重くなりすぎると距離感悪くなります(パター)。ほどほどに・・・。
パター以外のクラブも効果はあるけど、ヘッドが効いてないと飛びません。こちらもほどほどに・・・。

どのキーワードについても一長一短ですね・・・。
したがって、「誰にでも簡単なクラブ」なんてものは結局存在しない、あくまでも「その人の打ち方に合ったクラブ」かどうかでしかない、ということです・・・ははは、そりゃわかってましたがね。